株式会社松栄堂様
業種:製造・卸・小売
導入拠点数:1
導入前の課題
繁忙期の残業が多く、原因の発見と改善が必要だった
薫香の製造、卸、小売を行っている松栄堂では、夏と冬の繁忙期の残業時間が多くなってしまっていることに課題を感じていた。
特に夏は贈答用の加工業務等も多く、出荷 1 件当たりの処理時間が長く体力的にも厳しい状況であった。
事務、荷役、加工の 3 チームの忙しさのピークタイムは様々なため、各チームの生産性と作業時間を定量的に分析し適切な応援を行うことで、各チームの忙しさを平準化し、時間外の作業を減らすことができるのではないかと考え、ロジメーターを利用した改善活動を行い夏季の残業をゼロにすることを目標に定めた。
導入効果
時間帯別の作業時間を分析し、問題点を把握
ロジメーターで取得した作業時間をチーム別に集計し、時間帯別にグラフ化したところ、荷役チームのピークタイムは 15 時以降である一方、加工チームは当日出荷分の加工は 15 時までにおおよそ完了させており、15 時以降は翌日出荷分の加工をしているということが可視化された。
また、加工チームの残業は翌日出荷分の加工作業によるものであったが、現場にヒアリングをしたところ、翌日が忙しいと思い込んでしまい、念の為に残業をするということが常態化していたことが判明した。
定量化された情報から、残業ゼロにするための対策を立案
可視化された時間帯別の作業時間から、以下のような応援体制を構築できれば、1日の時間の使い方が効率的になり残業時間を無くすことができると試算した。
- 荷役チームはピークタイムに入る15時までの間、加工チームの翌日以降分の作業を行う。
- 加工チームは荷役チームの応援により翌日以降出荷分の作業量が減るため、これまで翌日分の作業をしていた15時以降に荷役チームの応援に入る。
難易度が低く作業時間の多い加工作業を選定し、荷役チームが応援できるようにしたことによって加工済みの在庫を十分に保管することができ、加工チームは翌日以降分の作業のために残業をする必要がなくなった。
続いて加工チームの浮いた時間を使い、荷役チームのピークタイムの応援を行うことで荷役作業もすべて時間内に収めることができた。荷役チームの時間外作業が無くなることで、事務の終了時間も時間内に収まったため、夏の繁忙期の残業時間は2022年が289時間だったのに対して2023年は26時間となり、91%の削減に成功した。
尚、26時間の残業時間も退社時の打刻遅れなどによるものであり、各チームの作業はすべて時間内に収まっていた。
他チームの業務進捗を気にするなど現場全体の意識向上に繋がった
本取組は残業時間の削減のみならず、現場全体の意識改革にも繋がっている。
現在ではチーム間の会話が増え、お互いの業務進捗を確認しあうようになり、自チームの仕事以外にも多種多様な仕事に挑戦する意識が生まれた。
これまでは「自チームの業務をこなすのみで良い」という空気感があったのに対し、手待ち時間が発生したら自主的に仕事を取りに行くようになるなど、センター全体での助け合いの精神が生まれている。
また、作業者に時間意識が芽生え、就業時間内に業務を終了させようとする文化が定着した。
現在も改善を継続的に行っており、活動を開始してから半年以上が経過しても出荷業務に起因する残業は発生していない。
本取組は優秀事例として、JILS主催の全日本物流改善事例大会においても発表されている。